ことばが発達した頃の脳は、発達前とどう変わっているの?

 ブログのタイトルを「ことば」と「からだ」としましたが、もう少し詳しく表現すると「自ら動くことが言葉を伸ばす!」になります。

言葉の発達を促すために重要なのは、意識的に身体を使うことなのです。

この事について以下にある研究論文を用いて解説します。

Early gray-matter and white-matter concentration in infancy predict later language skills: A whole brain voxel-based morphometry study

 この研究では、生後7ヶ月の乳児19名の脳をMRIでスキャンし、その後、生後12ヶ月(5ヶ月後)の時に言語能力(理解力・表出力)を評価し再度、MRIにて脳をスキャンして言語能力と脳のネットワーク化が進んだ部位の相関を調べています。

つまりは、7ヶ月の頃と言葉が使える様になった12ヶ月では、脳のどの部位の発達が言語発達と関連しているを調べている研究です。

 結果は、言語の理解力と右小脳、左内包後脚と大脳脚という脳の部位のネットワーク化が相関しており、表出力では右海馬という部位のネットワーク化と強く相関していることがわかりました(図1)。
以上の事から右小脳、左内包後脚、大脳脚、そして海馬が早期言語発達と関連している可能性を示唆したと述べています。

図1 言語能力と脳のネットワーク化の相関

結果にある脳の部位の機能を簡単に説明すると、言語理解と相関のある小脳は、身体のバランスをとる機能を持っており内包後脚は、意識的に身体を動かす神経の集まった場所になります。また大脳脚も意識的に身体を動かす神経の経路になります。さらに言語表出と相関のある海馬は記憶に関連する部位です。

わかりやすくまとめると言語の理解力は、身体を意識的に操作するときに働く脳の部位の発達が関係しており、言語の表出力は、記憶に関わる場所の発達が関係していたという結果です。

 この研究結果から考えると意識的に身体を使うことが言葉の発達と関係するということがわかります。
もう少し深い解釈をすると身体を使うと言ってもブランコを大人に揺らしてもらって身体を使うよりは、自分で動かそうとすることが言葉の発達を促すことになります。

「どこに足をかけようか?」「どこを持つ?」など 考えながら動くことが大事

もちろん大人と一緒に遊んで楽しい時間を過ごすこともコミュニケーションの発達には繋がりますが、自ら遊びを展開する際には失敗しそうでも口出さずに見守ってあげることも大切ですね。