心理的リアクタンスという心の反応とは

 早く寝なさいとか勉強しなさいなど、親から言われてイラッとした経験はないですか?

これは、“自分で選ぶ自由を奪われた”と感じたときの自然な反応で心理的リアクタンスと言います。        この反応は、約60年前から提唱されている社会心理学的理論です。

60年前から提唱されているのですが、自由を奪われて起こる反応なのか、怒りなのか?区別がつけられず、相手によっては自由を奪われたと感じなかったり反応が変わるため研究することが難しい理論でした。

しかし、最近では研究手法の工夫され心理的リアクタンスの研究も散見されるようになってきました。

よって今回は、心理的リアクタンスを直接調べたfMRI研究を紹介します。https://www.researchgate.net/publication/380818160_Mentalizing_in_Reactance_A_Functional_Magnetic_Resonance_Imaging_Study_of_Freedom_Threats

研究方法                                                参加者に、次の3種類の文章(図1参照)を読ませ、その場面を自分が経験しているように想像してもらいました。       そのときの脳活動をfMRIで測定しました。 

1.自由を制限される場面(心理的リアクタンス)                                      例:上司から、予定外の仕事を今日中に終えるよう命じられる。

自分の予定や選択が他者や制度によって制限される場面です。

2.怒りを感じるが、明確な自由制限ではない場面(怒り)
例:注文した服と違う色の商品が届く。

これらは腹が立つ場面ですが、「あなたはしてはいけない」と自由を直接奪われるわけではありません。

3.中立的な場面                                          例:スーパーで現金が足りず、カードで支払う。   

これらは、強い怒りや自由制限を引き起こしにくい場面です。

結果は、以下の部位(図2参照)が心理的リアクタンスの場面において怒りを感じる場面や中立的な場面よりも強く反応を示しました。                                           この部位は相手の心を想像する力を使う際に働く場所になります。  

内側前頭前野:MPFC→自分にとっての意味づけ  「自分は本当はこうしたかった」                                         楔前部:precuneus→状況を頭の中で再構成する 「どうすれば自由を取り戻せるのか」                                          側頭頭頂接合部:TPJ相手の意図を読む入口  「なぜこの人は私を止めたのか」                                             

この部位は、一般的に相手の意図や考えを推測する脳機能の中心領域です。

以上のことから心理的リアクタンスは、単純に、「腹が立つ」「不快になる」だけではない可能性があります。

自由を奪われたと感じると、脳は同時に、

「なぜこの人は私に命令するのか」
「この人は私をどう動かそうとしているのか」
「相手にはどんな意図があるのか」

と、自由を制限した相手の意図を読み取ろうとするようです。

つまり心理的リアクタンスは、

怒りや不快感+相手の意図を推測する高次の社会的認知

から構成される可能性があります。

特に重要なのは、物理的な妨げ(例としては自然災害などで自由が奪われる:落石で回り道をするなど)ではなく人為的に自由を妨げられることによって起こることです。

心理的リアクタンスは、「人に自由を奪われた」と感じたときに生じる怒りと反発ですが、その中には「なぜ止められたのか」相手は何を考えているのかを理解しようとする働きも含まれます。

しかし、ASDのある子どもでは、この相手の意図が伝わりにくいため、「止められて嫌だ」という不快感が強く残り、反発として表れやすことがあります。

以上のことから、注意する・指導するといった指示をする場面ではこのような心理的な反応が伴うことを理解しておく必要があると思われます。

私たも子供の行動を抑制する場合には、理由を言って伝えることの方が重要で「やめさせるのではなく」理解を促すことを大切にしていきたいですね