子どもの書字困難を支える新しい視点
今回は、私の親友である高畑脩平先生らが発表した、子どもの書字困難に関する研究をご紹介します。https://www.nature.com/articles/s41598-025-03634-z
この研究では、通常学級に在籍する小学2年生145名を対象に、教師が感じる「字の書きにくさ」と、子どもの書字能力との関係を調べました。
評価したのは、筆圧やペンの傾き、文字の大きさや間隔だけではありません。姿勢の安定、指の動き、眼球運動、手指の感覚、目と手の協調など、書字を支える22の要素が幅広く検討されました。
その結果、(図1参照)書字困難の有無には、手指操作や姿勢、目と手の協調といった基礎的な運動の不器用さが関係していました。 一方、書字困難が重いと評価された子どもでは、線からはみ出さないように速度を調整するなど、丁寧に書くことの難しさが目立ちました。

特に興味深かったのは、親指とほかの指を順番に合わせる課題と、線を正確になぞる課題が関係していたことです。これは、書字が単なる鉛筆操作ではなく、指の感覚、身体の安定、視覚と運動の連携によって成り立っていることを示しています。
字が乱れている子に「もっと丁寧に書きなさい」と伝えるだけでは、問題の解決にはならないです。その子がどこでつまずいているのかを、身体・感覚・注意の面から捉えることが、適切な支援への第一歩になる研究です。

療育現場では、書字の問題だけにとらわれず姿勢が安定しているか 指を滑らかに動かせるか 物を握った感覚を捉えられているかなど書字以外の面に対しても注意を向け、書く練習ばかりせずに楽しい活動の中で習得していけたらいいですね。
