現在、私は、脳梗塞でリハビリ病院に入院している、作業療法(OT)の訓練で電気刺激装置「エスパージ」を用いた治療を受けた。手関節が背屈すると、示指が勝手に、すっと伸びる。その小さな動きが気になった。「なぜ、手首を反らすと人さし指が伸びるのだろう」。手首の背屈から示指の伸展、その手指の動きが、飛行機が滑走路を離陸して目的地に向かうイメージが浮かんだ、そのイメージが物に手を伸ばすリーチ動作のイメージと重なった。「なぜ示指だけが伸びやすいんだろう?」調べると、示指には他の指とは別に伸展を助ける「固有示指伸筋」があると知った(図1)。

もっとも、電気刺激による示指の伸展には総指伸筋なども関わり、観察した動きだけで特定の筋の働きとは断定できない。それでも、私は、手首が背屈する際にと示指が連動して伸展する感覚を身をもって感じた!これは、一つの行為「指差し」を生み出す身体の協調だと感じた。

ここから、子どもの指差しについて考えが広がった。私は以前から指差しは空間操作と捉えており相手の直接手を引くのではなく動作で空間の先を伝える。指差しは、言語の機能に似ていると感じていたので電気刺激で勝手に示指が動くのに興味が湧いた!だから調べた結果、目の前の物に手を伸ばすリーチ動作は、まず「触れたい」「取りたい」という自分の行為「リーチ動作と指差しの関係:指差しには物に触れる運動との共通性があり、触れる行為が指差しの起源の一つである可能性を示した研究があるhttps://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6620103/?utm_source=chatgpt.com。一方、指差しは、触れずに対象を示すことができる。身体を対象へ向ける運動が、指先を通して空間の向こうへ延び、意味を伝える身振りになるのではないか。

そして、飛躍した私見になるが子どもが指差した先を大人が見ると、対象は「私が見ている物」から「あなたと私がともに見る物」へと変わる。これは共同注意を支え、やがて他者と意図を分かち合う共同意図の土台にもなる。ただし、リーチ動作がそのまま指差しになるわけではない。自己の動きが他者の視線や応答を経験する社会的な発達も欠かせない。

指差しは、単なる手の動きではない。身体が空間の先へと延び、他者と対象を共有し、やがて意味を伝えるはたらきへとつながっていく。その始まりを、自分の手の小さな動きから考えられたことは、私にとって大きな発見だった。